チクホウフォーカス

2013年〜共同ポケットの活動記録です。

青春は凄春に?2017年始動

2017年がスタートしました。2014年、2015年と、大勢の方々にご協力を仰ぎながら「チクホウフォーカス」という打ち上げ花火をあげたのちの昨年は、何か全てを出し尽くしたような抜け殻のような心持ちのまま、あっという間にやり過ごしてしまいました。
未来に語り継ぎたい風景、記憶の中だけに留めておくにはあまりにも惜しい、筑豊最後の映画館跡「ターミナル会館」は、9月末をもってバスセンターとしての役目を終えることになり、10月1日には鉄のフェンスが張り巡らされ、ついに立ち入り禁止となってしまいました。
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炭鉱の歴史がもたらした貴重な文化遺産に光を当てようというプロジェクト「チクホウフォーカス」として、わずかな希望を託し「ターミナル会館」をシンボルとして「青春の門」の上映イベントなどを行いました。ターミナル会館がなければ田川に永住することもなかった手書きの映画看板絵師、篠原光雄さんの素晴らしい仕事や、映画愛好会の地道な資料保存を広く紹介し、ターミナル会館に思いを寄せる人々の声を集め、ターミナル会館をモチーフにした記念グッズを作ったりしましたが、結果的に、私たちが思う価値が、老朽化、耐震性、安全性、将来的な道路計画の問題をクリアするまでには至りませんでした。
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私たちの活動を応援してくださったオーナーのお考えも何度も伺ってきましたが、人々の思い出のためだけにお金が使われることは非現実的であるという結論が覆ることはなく、しかしながら最後に、多くの人々が、「ターミナル会館」の歴史とその思い出をめぐって交流してくださったこと、そんな機会を作ってくださったことには、感謝しているという有難いお言葉をいただきました。
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田川市と共催で実現した誇らしい「チクホウフォーカス」でした。「たがわ魅力向上課」という新しい部署ができ、この春よりフィルムコミッション事業も立ち上がるという田川市が、一方でバスセンターを失い、ターミナル会館がある風景を無くしてしまうことがどういうことなのか。考えれば考えるほど、わからなくなってきます。お金のない私たちにはこれ以上のことを言う資格はないでしょう。


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昔はよかったという話を嫌というほど聞かされてきた私たちだからこそ、思い出が産業になる可能性を捨てきれずにいます。全てを切り捨てて横文字を並べ新しいことを始めるのはいかにも面白そうですが、そこにあるものをうまく生かして今に繋げることこそ、私たちのふるさとに相応しいと思うのです。
荒地に育った私たちには煌びやかな青春なんて最初からなかった。青春の門の田川と言われてもちっともピンとこなかったのです。だからこそ、ターミナル会館がそこに存在していること自体に大いに意味があった。
奇しくもターミナル会館閉鎖のニュースと同時に「過ぎ去った青春を凄春に」と、あの五木寛之先生の声が聞こえてきて、鳥肌が立ちました。

五木先生、すっかり低くなった香春岳をもう一度、見に来てくださいませんか?

青春の門 筑豊編」が最初に映画化された1975年、全国に先駆けて先行上映されたターミナル会館の姿を辛うじてまだ見ることができます。そう、今ならまだ間に合うかもしれません。






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