1972年、歌手としてデビューした
田中健さん。日本人離れした端正なお顔立ち。はっとするような美しさを放ちながらも何故か泥臭い田舎の風景にもふっと溶け込んでゆく純朴な魅力が俳優
田中健として、初めて銀幕に輝いたのが1975年
東宝制作の「
青春の門 筑豊篇」でした。
原作者の
五木寛之さんと同郷であったこともあり、主役の伊吹信介役を射止めた田中さんは、社会派の名監督として知られた
浦山桐郎氏をはじめ、リアリティを追求する本気の映画人に囲まれて、機材運びや撮影準備など裏方の仕事も徹底して教えられ、デビュー当時から制作者の思いを汲み取る役者修行に励んできました。