チクホウフォーカス

2013年〜共同ポケットの活動記録です。

本橋成一「炭鉱<ヤマ>」発売記念トークイベント@福岡 大盛況!

筑豊の炭鉱を原点とする東京在住の写真家、本橋成一さんが、デビュー作である写真集「炭鉱」をこのたび、撮影地である地元福岡の海鳥社から新装版として出版されました。

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再版を記念して、福岡市箱崎でギャラリー&カフェを備える書店ブックスキューブリックでは2月10日から約一ヶ月間写真展を開催。15日(日)には、本橋成一さんを囲んでのトークイベントが企画されました。

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店主の大井実さんのセレクトによってさまざまな文化発信が行われる場としても知られるキューブリック
これまでにも魅力的な本と人を結びつけるさまざまなイベントが行われてきましたが、今回は筑豊にゆかりの深い「炭鉱」の写真集とそれを作った人、手にする人たちの共感をテーマしたトークイベントです。
光栄なことに本橋さんと17年目の親交を続けさせて頂いている共同ポケット青木が聞き手として参加させていただき、チクホウフォーカス(共同ポケット)の共催イベントとさせていただきました。

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店主の大井さんは会場づくりから「炭鉱」にまつわる特別なブックフェアまで企画、筑豊の文化発信に熱心に関わってくださるブックスキューブリック、ますますファンになりました。

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15時前に、本橋さんを会場へお連れしましたが、店内に入るなり、その魅力的なディスプレイと書籍のセレクトに大変喜ばれていました。

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本橋さんと出会うきっかけとなった本「キジバトの記」も並んでいました。

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いづれ海鳥社から出たこの本は、かつて筑豊の炭鉱の記録文学者として多くの人に影響を与えた作家上野英信氏の妻、晴子さんのエッセイ集です。
鞍手町の炭鉱長屋を改修した上野夫妻の家は「筑豊文庫」と呼ばれ、地元住民や炭坑労働者、また筑豊を取材するメディア関係者など多くの人々が集う、交流センターのような役割を果たしてもいました。
この本が出たとき、上野英信の知られざる夫としての姿が初めて明るみに出たと話題になったと同時に、私のような筑豊出身で当時のことを知らない世代には、「筑豊文庫」がいかに多くの人に影響を与え、上野英信という人がいかに求心力のある凄い人物であったかということを新鮮な驚きで知る事ができる、学びと感動が詰まった一冊に思えました。
98年当時、九州朝日放送に在籍し報道記者として働いていた私に、自身も筑豊文庫に大変お世話になったという上司より「キジバトの記」をドキュメンタリー番組にせよとの命が出ました。
まだ3年目の駆け出しではありましたが、筑豊出身ということで白羽の矢が立ち、この経験がその後もずっと、かけがえのない財産として生きています。

そんなわけで「筑豊文庫」から巣立ったとされる本橋成一さんを取材するために東京を訪ねた17年前の懐かしの写真です。

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チェルノブイリ原発事故の被害にあった村の住人を撮ったドキュメンタリー映画ナージャの村」を作り、初めて映画監督としても活動を始められた頃の本橋成一さん、当時58歳。青木26歳。

世界を舞台に活躍されている方の原点が筑豊であると知り、なんとも嬉しく誇らしい気持ちで向き合わせて頂きました。筑豊から来たというだけで本橋さんも懐かしそうにニコニコと接してくださり、上野夫妻のご子息、朱さんも同様にそれ以来、親しく交流をさせて頂いています。

そんなお二人と並んでのトーク、なんと光栄なことでしょう。

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定員を超えるお申し込みがあったそうで、当日の飛び込みも含め、会場に入りきれない程のお客さんでいっぱいになりました。

最近、筑豊の炭鉱の写真集を自費出版されたアマチュアカメラマンの方々や、田川市の美術館や料亭でアートに関わる方々、なんとあの山本作兵衛さんのお孫さんまで、筑豊からもたくさんの参加があり、心強い限り。

今回、写真集に新たに加えられた一枚の写真。筑豊文庫の裏手にあった炭鉱長屋に母子で苦労しながら暮らしていた森本家の家族写真

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一番ちいさい、ユーモラスな表情できょうつけをしている少年に朱さんが連絡をとってくださり、会場でお話を伺う事も叶いました。

現在55歳になった当時の少年、父を亡くした自分たちを母が必死になって育ててくれた。思えば2日間水だけのひもじいときもあったけれど、今振り返ってみてもそれが苦労だとは思えない。上野先生一家が近くにいて、いつも温かく接してくれ、とにかくあの頃はキラキラと輝いていたと思うと語って下さいました。

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写真を見て語り合う、朱さんと、写真集の少年Fくんこと森本富士男さん。

今回の写真集に素晴らしい解説文を添えた上野朱さんも、「いつも家に現れいつの間にか横に並んで笑っている、なんだか親しみ深い本橋青年」の思い出を穏やかな口調で語っていただきながら、本橋さんの仕事の魅力を的確に伝えて頂き、最後は本橋作品のポスターをめぐってのじゃんけん大会まで盛り上げてくださいました。

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さあ、朱さんに勝ったら、本橋さんのサイン入ポスタープレゼントですよー!

来場者の半数近くが写真集をお買い求めになられたとか。これはちょっと凄いことですよ!と大井店長。

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トークイベント終了後の懇親会にも大いに盛り上がりました。

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長年、上野文学のファンという女性は、朱さんにお会いできて大感激。サインを求めたところ、なんとこのサービス!

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あちこちで笑顔が溢れる素敵な日曜の夜となりました。翌日は、久しぶりの筑豊の今を見ていただこうと、共同ポケットの本拠地、田川に本橋さんをお連れするツアーを実施。後日リポートいたします。引き続き、多くの方に写真集を見ていただけるようPRしていきたいと思います。