チクホウフォーカス

2013年〜共同ポケットの活動記録です。

明治日本の産業革命遺産「石炭産業」世界遺産登録に向けたチクホウフォーカス2015

明治日本の産業革命遺産として「石炭産業」に関連のある地域がこの夏、世界遺産に登録されようとしています。
かつて国の出炭量の半分以上を掘り出していた筑豊炭田。にもかかわらず、現在はその歴史を象徴する遺構がほとんど残っていないために、福岡県筑豊地区はその登録エリアから外れています。
なんということでしょうか!でもこれが現実。無理もないことです。それは大牟田を旅すれば容易にわかります。
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中小のヤマが多く乱立していた筑豊•田川エリアは、閉山後の急速なスクラップにより、職を失った人々は一気に外へ流れと流れ過疎化が進み、その後に生まれた私たち世代の故郷の風景は荒れ果てた空き地や廃墟のように置き去りにされた謎の建造物ばかりでした。唯一の象徴は、ドイツ製の煉瓦で作られた大きな煙突が二本と、労働者たちを地底へと運ぶエレベーターであった朱色の巻上げ機だけです。

とはいえ、筑豊には、当時をたくましく生きた労働者や住人たちの記憶を呼び起こす遺産が存在しています。それが証明されたのが、2011年に日本初の世界記憶遺産に認められるという快挙を成し遂げた、炭鉱絵師、山本作兵衛翁の仕事でした。
自らも地底で働き、命がけの労働をしながら、その記憶を辿って当時の様子をコツコツと絵で残してくださった山本作兵衛さん。筑豊にあるのは人々の労働の歴史であり、体験者の記憶である。それこそが財産である。筑豊に生きる私たちはもはやこのことを誇りに思い、なんとかしてこの記憶を消し去ることなく次代へと繋いでいく義務があるのではと思われます。

そんな今だからこそ、作兵衛さんの仕事と人柄に再度目を向けて、今の筑豊にあるものに目を向けたい。
それが「チクホウフォーカス」の理念であります。

昨年、私たちが生まれた頃に故郷で作られたという映画「青春の門 筑豊篇」が訴えかけるものに目を奪われ、昭和の激動を生きる人々の迫力に圧倒され、この映画を都心で見る会をと思い立ったのがきっかけでした。地元の長老たちは、何を今更とその映画を見飽きた様子でしたが、どこで誰がどんな想いでそれを見るのかで、古いものはより新しく鮮やかに輝き出します。

後日、見飽きたはずの長老たちより、次回は地元でという声が聞こえてきました。
本来なら、まず地元の人たちが地元にあるものに価値を感じることから始めなければ意味がない。
そう言われました。

今回、田川市の石炭•歴史博物館が原画展示に合わせた何かを探していらっしゃるとき、私たちの企画とマッチングしました。二本煙突がそびえる田川市が一丸となって、チクホウフォーカスを、また、田川だけでなく筑豊エリア全体で、呼びかけていこうということにもなっています。

これは本当に一大事です。身が引き締まる想いです。が、とてもとてもはりきっています。
これまで光の当たっていなかったところに、照準を合わせていきたい、フォーカスしていきたいと
考えています。7月11日にオープニングイベントでちょっと素敵なことが起こります。
それから11月の終わりまでのロングラン。その間、ぜひ一度ならず二度、三度と筑豊遊びにおいでください。何もないところから何かを想像する旅を楽しんでください。ご自分の想像力がいかほどかを試すチャンスです(笑)それは普段なかなかできない、刺激的な体験になると思います。

みなさまにお会いできるのを楽しみにしております。どうぞ宜しくお願い致します

チクホウフォーカス実行委員会 会長 共同ポケット 青木美香