チクホウフォーカス

2013年〜共同ポケットの活動記録です。

田川市美術館の「炭鉱」トークイベントでのこと

新聞を読んだだけでは伝わらないこと。
先週の日曜日、田川市美術館で開催されたトークイベントに参加しました。前列の男女ふたりばっちりと写ってしまいました。
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筑豊最後の坑夫たちと題し、閉山を迎える山野炭鉱の最後の一日に特別に坑内撮影を許されたという帆足さん、永吉さんの写真展は福岡市の美術館でも大きな話題となり、当時を知るたくさんの方々と記憶を共有した意義深いものだった。待望の地元開催で田川市美術館にもたくさんの方々が足を運び、トークイベントでもてっきりその交流がと期待されたのだが、何故か同時開催の、田川市マスコットたがたんが世界の炭坑を旅するという視点でのトークのみ。
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帆足さんたちの話が聞けるのかと勘違いして集まった人も多くいたが、そうした方々への配慮の言葉もなく、しかも会場には撮影者の永吉さんや、田川を代表するアマチュアカメラマン、橋本正勝さんも聴衆としていらっしゃったにもかかわらず質疑応答など話の広がりもなかった。
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内容としては、たがたんPRでたまたまイギリスにいった元田川市の職員が閉山となったイギリスの炭鉱施設がミュージアムになっている観光地を興奮気味に訪ね、現地でこれは何?あれは何?とはしゃぎながら右に左にと目が回るような映像を撮影し、まったく編集もピックアップもせず、すべてのぶつ切り映像ファイルを約1時間にわたって、延々と開き続け、見せられるというもの。
たまりかねた聴衆が、いろいろと質問したが、補足説明がまったく追いつかず、その炭鉱がいつの時代に稼働していて、いつ閉山になったのかさえ答えられない状況。内容以前に動画の酷さに具合が悪くなる人も。
トークイベントを企画した花石代表は、準備不足を謝罪することもなく「私は炭鉱のことは何も知らない。両親は麻生セメントだったし、話を聞くこともできない。私のように炭鉱を知らない世代にも関心を広げられたら」と会の終わりに、たがたんクラブのPRと共にコメントしていたが、知らないにも程がある。知らないなりの配慮が足りなさ過ぎる、田川市美術館としても、誠に残念なギャラリートークであったと言わざるを得ない。
当日の様子を伝えた新聞記事には、学芸員らが独自に調査したその他の世界の炭坑の現状がスライド紹介される模様が載ったが、関心を寄せる方々と、発信する側の距離をできるだけ縮められるよう、チクホウフォーカスとしては努力を続けたいと思いを新たにした。