一貫して子を守る筑豊の強き母

これまで何度も映画やTVドラマでリメイクが繰り返されてきた青春の門。筑豊の炭鉱町を舞台にひとりの少年信介が様々な人間模様の中で大人の男性へと成長していく物語です。

今回チクホウフォーカスで上映を計画しているのは1975年、昭和50年に最初に作られた元祖。新人俳優として、この作品でその名を知らしめた田中健さんこそ、初代信介なのです。

物語の核となる、一貫して子を守り通す筑豊の強き母を演じるのが、今や国民的大女優の吉永小百合さん。


30歳当時から清純派の女優として人気でしたが、この作品で初めて濡れ場を演じたとあって、世のサユリストたちに衝撃を与え、さらに磨きがかかった美しさと存在感で、その人気は不動のものになりました。

長期ロケが行われた田川市では、吉永さんに一目会わせろと、その宿舎にファンが殺到し、警察沙汰になって交番が襲撃されたとかされないとか。

こうして完成した青春の門は、全国に先駆けて地元田川市で封切られ、約700席もの上映ホールがあったターミナル会館に、吉永小百合さんと田中健さんが揃って舞台挨拶に訪れ、大変な話題となりました。

ターミナル会館の映画に関する資料を多く保存している田川映画愛好会では、伝説ともなっている当時の様子を舞台裏から撮影した貴重な写真も所有しています。
今回、チクホウフォーカスでは、映画を上映するだけでなく、当時の様子がイマジネーションできる写真資料の展示と、初代信介役の田中健さんをお招きしてのトークショーも大きな目玉としています。

小さな町に映画がもたらした幸せと、近代化していく日本の歴史文化にも触れられる意義深いイベントを目指しています。